Let's Split 風静電容量式キーボードを作ってみました。名前は Let's EC です。
今回は主に以下の2点を試してみたくて作りました
- 左右の通信を USB Type-C ケーブルにする
- マイコンボードを表面から見えなくする
左右通信
左右の通信には USB Type-C ケーブルを採用しました。自作キーボードだと TRRS ケーブルがよく使われますが、キーボードを持ち運ぶ際に TRRS ケーブルを忘れると人からも借りられるようなものでもないので詰みますが USB Type-C ケーブルであればスマホ充電用に持っていたり買える場所も多いのでつぶしが利くかなと。
ただしあくまで電気流すための導線という意味でしか使っておらず、左右通信用の USB を PC に繋ぐと壊れます。QMK Firmware の Spilit Keyboard の項目でも配線の仕方によっては左右通信用のケーブルを PC に間違って指すと壊れる可能性があるので左右通信に USB ケーブルは勧めない1 旨が書かれています。 それでも今回なぜ USB Type-C を選んだかというと TRRS ジャックよりも高さを抑えたかったのと TRRS と違い活線挿抜ができるからです。XIAO RP2040 も左右通信も USB Type-C ですが、XIAO RP2040 側が PC につなぐ方、左右通信はハンダ付けしたレセプタクル同士とさえ覚えておけば事故るようなものでもないので運用でカバーです。
USB C のレセプタクルは電源供給用の 6pin のものを使いました。16pin や 24pin のものもありますが、私が自力でハンダ付けできないので不採用。 6pin の構成は GND, VCC, CC1, CC2, VCC, GND となっており、CC1, CC2 を短絡させれば端子をどっち向きに挿しても CC 通して電気が流れるので、左右通信に必要な最低限の導線3本は確保できます。
2023/12/25 追記
運用でカバーと思っていたものの、メリットよりもデメリットの方が勝りそう。 左右通信用の TRRS ケーブルを PC に刺す可能性はほぼないであろうが、USB ケーブルは PC に間違えて刺す可能性高そう。左右通信用のケーブルに5V印加しても問題ない設計をできるようになるまでは TRRS を使うのが無難と思い直した
実装部品
高さを抑えるために MCU 直付けできたらカッコいいのですが
- そもそも設計したことないので作り方がわからない
- 自らの手ではんだ付けできる気がしない
- PCBA 代高そう
等の理由から今回は XIAO RP2040 を端面スルーホールでハンダ付けしました。静電容量式キーボードの場合、PCB の裏にソケットなどの出っ張りがなくマイコンボードを基板裏に設置しても大して厚みは増えないので製造コストのことを考えると MCU 直付けで作るモチベは今のところ上がっていません。
XIAO RP2040 の使用することのできるピンを全て使い切っていて余裕がないので rp2040 supermini あたりを使うことも考えましたが、入手性に心配があったので国内で取り扱い店舗が多い XIAO RP2040 を無難に選びました。
その他の部品は不器用な私でもハンダ付けできそうな SOP-8, SOP-16, 1206(inch) と前途の USB C レセプタクル 6pin で構成しました。
ノイズの心配がありましたが、実用に耐えるレベルには収まってくれました。
ケース
オリジナルの Let's Split のようなプレートでのサンドイッチマウントだとマイコンボード側の厚みが手前側にまで波及してしまうので約4度チルトしたケースを作ってマイコンボード側の高さを自然と稼げるようにしました。 私の場合は普段70度のテンティングしてキーボードを使っているので厚みがあってもなくてもあまり関係ありませんが、販売も視野に入れていたので市販のものでもありそうな無難な感じに作りました。
ケースはトレイマウント風2とHHKB 式3の2種類を作ってみました。
- https://github.com/qmk/qmk_firmware/blob/c3773587e910f80c063a3edcaaefa76d3d844157/docs/feature_split_keyboard.md?plain=1#L48↩
- 上下から PCB を挟んでいるだけなので多分サンドイッチマウントです↩
- HHKB 式: ここではハウジングとトッププレートが一体化している方式のことを指します↩