トラックボール付き静電容量無接点方式分割キーボードを自作した

トラックボール付き静電容量無接点方式分割キーボードを作ってみました。キーボード名は「転がる小石(英名: rolling miniec)」です。

軽く調べた感じではトラックボール付き静電容量式キーボードの前例を見つけることができなかったので、もしかしたらこれが世界初かもしれません。(製作難易度から考えるとすでに他の誰かが作っていると思いますが)

Firmware

firmwarekeyball のものと小石1のものを単純に合体させました。トラックボールの制御とキースキャンの処理は全く別なので単純にひたすらコピペするだけで作れました。

実はこの firmware の原型は小石を作る前から作っていました。昔のこと過ぎて何故書いたのか理由を覚えていませんが、多分小石の基板が届くまで時間があって暇だったのだと思います。

トラックボール

トラックボールケースは keyball39 から移植しました。keyball のものを移植する場合、L字コンスルーが必要になります。 トラボ付きキーボードを今まで作っていなかった理由としてはこのL字コンスルーの入手方法が分からなかったからというのが最大の理由だったのですが、ちゃんと調べたらマルツで普通に売っていました。税抜き4050円といいお値段ですが... https://www.marutsu.co.jp/pc/i/106993/

KiCad で使うトラックボールケース用の footprint は公開されている keyball の基板データから作成しました。ネジ穴の位置に関しては問題なかったのですが、ケースとトッププレートの距離感までは考慮していなかったせいで、いざ組み立てたらケースがトッププレートと干渉して設置することができませんでした。今回はトッププレートをひたすらヤスリで削って解決しました。 キーボードを作るときに 3D を意識して作ることは今までなかったのでこの辺の考慮がすっかり抜けていました。

ノイズ

トラックボール用の配線が増えた影響かトラボが付いている側の各キーの電圧はだいぶ荒れています。 トラボがついていない左側はキーを押していない状態での各キーの電圧のバラツキは少なく、また安定しています。一方でトラボ付き側の電圧はキー毎にバラバラですし、単一のキーに注目した場合でもキーを押していないにも関わらずとても上下しました。 今まで作成してきたキーボードでは全キー共通の閾値を使ってきましたが、今回は全キー共通の閾値設定では入力をコントロールしきれなかったのでキーごとに閾値調整をしました。 スペースの関係上、キースキャン用の配線とトラボ用の配線が交わるところが多くなってしまったので、余白を増やして配線が交わる箇所を少なくしたほうが良かったかもしれません。

キーボードケース

ケースは freecad を使用して作りました。 トラボケースがある箇所は干渉が怖かったので完全に壁をなくそうかと最初は考えていましたが、keyball 開発者の Yowkees さんが keyball39 用のケースデータを公開されていたので、それをもとにトラボケースにフィットするようにモデルを作りました。 少し余裕をもたせたつもりでしたが、思いの外ぴったりでした。

ケースの材質は 9000R Resin を選んでみましたが思っていたよりも黄色みがかった白色でした。基板の白いレジストと差があってイマイチしっくりこないというのが正直な感想です。安さで 9000R Resin を選びましたが別のものにしたほうが良かったかもしれません。

今後

基板設計に関してはこれ以上にやりたいと思うことが今のところないので、ここで一区切りかなと思っています。(買うだけ買って使っていない RP2040-Zero が大量に余っているのでそれを使うキーボードを1個位は設計するかも。) 今後は3Dプリンターで何か作ったり、今まで設計したキーボードの販売を細々やっていこうかなと思っています。

現在は静電容量 corne mini 基板を販売中です。

pikarikbd.booth.pm

あとは処女作でありながら最も動作が安定している小石もそのうち販売しようかなと思っています。

今回の転がる小石のようなトラックボール付きのキーボードを販売したらすごい売れるのだろうという気はしますが、トラックボールケースをモデリングできる気がしないのと、販売できるレベルの安定動作まで持っていける気がしないので私が販売することは当分ないと思います。


  1. 私が初めて設計した静電容量無接点方式分割キーボード